福岡法務局そばの矢野・いなほ司法書士事務所です。今回は「墓地」や「墳墓地」の登記の際の登録免許税についてご案内します。

1.墓地や墳墓地の登記。

 相続の際などに「お墓」のことはご家族の話題になりやすいと思います。まず、民法においてお墓は「祭祀財産(さいしざいさん)」として扱われ、通常の相続財産とは違うルールで承継されることになります。相続税の対象にもなりません。

 なお、お墓そのものは登記の対象にならない(建物にあたらない)ですが、お墓の土地は「墓地」「墳墓地」として登記の対象となります。たとえばこの「墓地」「墳墓地」の移転登記をする場合にも「年月日民法第897条による承継」という特殊な原因で登記することもあります。

2.墳墓地の登記の登録免許税は?

 墓地や墳墓地に関する登記は、登録免許税法第5条第10項の規定により非課税となっています。

登録免許税法第5条(非課税登記等)

第五条 次に掲げる登記等(第四号又は第五号に掲げる登記又は登録にあつては、当該登記等がこれらの号に掲げる登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類を添付して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。

一~九 省略

十 墳墓地に関する登記

十一~十四 省略

 この規定は「墳墓地に関する」とあるように、所有権移転登記には限定していないので、たとえば、「所有名義人の住所変更登記についても登録免許税法第5条第10号の適用がある」(『登記研究』第260号)「墓地を目的物件とする抵当権設定登記は非課税である。」(『登記研究』第333号)という先例もあります。

3.墓地であれば非課税になるの?

 『登記研究』によると、「評価証明書の現況の地目が雑種地であっても、登記簿上の地目が墓地である場合は、登録免許税法5条10号の規定が適用される。」(『登記研究』第519号)とあり、逆に「現況地目が墓地であっても、登記簿上の地目が墓地でなければ、登録免許税法5条10号の適用はない。」(『登記研究』第247号)ともあります。整理すると以下のようになります。

現況 登記簿上 登録免許税法5条10号の適用
雑種地 墓地 適用あり(非課税)
墓地 墓地以外 適用なし

 基本的には、現況や固定資産の評価等は関係なく、登記記録上(登記簿上)に「墓地」「墳墓地」とある不動産であれば非課税という扱いのようです。(ちなみに、固定資産評価証明書においては「宅地」として、評価額もついている土地(登記記録上の地目は「墳墓地」)の移転登記を申請するにあたって東京の法務局に問い合わせたところ、非課税扱いとなりました。)