福岡法務局そばの矢野・いなほ司法書士事務所です。今回は問い合わせの増えてきている一般社団法人(いっぱんしゃだんほうじん)の一般社団法人についてご案内いたします。

1.一般社団法人って?

 一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」という法律に基づいて設立された社団法人のことをいいます。 

 …といってもなかなか分かりにくいのですが、具体的にはどのような法人があるでしょうか?

 たとえば、地域振興、観光業を目的とする法人や、教育やスポーツ関係の事業を目的とするもの、医療関係の事業を目的とするもの、資格付与や、検定事業を目的とするもの、講座やセミナーの開催、各種イベントや競技大会の開催などの目的とする法人の場合、「社団法人」という形式で設立されている場合があります。

  具体的な例でいいますと、「日本経済団体連合会」(略して「経団連(けいだんれん)」)は一般社団法人です。他にも、「一般社団法日本自動車連盟(JAF)」や、「一般社団法人日本旅行業協会」「一般社団法人全国銀行協会」といった法人も有名です。

2.一般社団法人と会社の違いは?

 

私法人 営利法人 株式会社
合同会社
特例有限会社
合資会社
合名会社
非営利法人 一般社団法人
公益社団法人
一般財団法人
公益財団法人
NPO法人
社会福祉法人
学校法人
医療法人
公法人 地方公共団体
公共組合、公団
公庫、金庫等

 法律によって「人」と認められたものを「法人」と言います。 日本にはさまざまな種類の法人があります。一般社団法人も当然法人です。また、株式会社や有限会社(特例有限会社)、合同会社などの会社も法人の一種です

 しかし、同じ法人であっても、一般社団法人と会社とでは違いがあります。一般社団法人は「非営利法人」であり、会社は「営利法人」です。この二つの法人は「営利性があるかないか」によって分類がされています。「営利性があるかないか」とは、言い方を変えると「利益を構成員(社員、株主)に分配するかどうか」ということです。

 たとえば、営利法人の代表格である株式会社の場合、会社で利益が出れば、その利益は株主に分配されます。いわゆる配当ですね。

 一方、一般社団法人の場合には、利益が出ても社員には分配はできません。たとえ定款で「うちの法人は剰余金が出たら設立者や社員には配当を受ける権利を与えます」と決めたとしても認められません。これは法律ではっきりと定められている違いです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第11条第2項、以下、法律名は「法」と短縮します)。

 この「営利性」が誤解されやすいのですが、一般社団法人が収益を目的とすることもできます。一般社団法人は「利益が出たときでも社員に分配しない法人」なのであって、収益を目的として実際に大きな収益が出ても問題はありません。社員に分配せずに法人のために使うのならば法律上は問題がないからです(ただし、税務上優遇がなくなる可能性はあります)。

3.一般社団法人と一般財団法人との違いは?

 次に同じ非営利法人である「一般社団法人」と「一般財団法人」の違いについてご説明します。この二つの法人の違いは、名前のとおり「社団」と「財団」の違いです。「社団」は「人」の集まりであり、「財団」は「財」産の集まりです。

 たとえば、設立の際の社員は、社団法人の場合には2人以上必要ですが、財団法人ならば、社員は1人で構いません。また、社団法人の設立の際に基礎財産などは不要ですが、財団法人の場合には最低でも基礎財産として300万円の資金が必要です。

また、社団法人と財団法人では、必要な役員などの機関が異なります。

  一般社団法人 一般財団法人
設立時社員 2人以上必要 1人でOK
基礎財産 基礎財産は不要 基礎財産として300万円必要
機関設計 ①社員総会と②理事で設立もOK

最低でも①評議員②評議員会③理事④理事会⑤監事が必要

役員 理事会がないならば理事1人でOK 最低でも、理事3人、監事1人必要

4.一般社団法人とNPO法人の違いは?

 一般社団法人と混同されやすい法人としてNPO法人があります。NPOとは「Non Profit Organization」の略で日本語では「非営利団体」となります。日本の法律では一般社団法人も非営利法人の一種ですが、NPO法人と一般社団法人にはいろいろと違いがあります。

 たとえば、一般社団法人は収益事業や構成員の親睦などの目的を定めることができますが、NPO法人ではそれらの事業は、公益的な目的の補完的な範囲でしか事業を行うことはできません。また、NPO法人は設立の際に都道府県や内閣府の認証が必要で、設立後も事業報告が必要ですが、一般社団法人にはそのような認証や事業報告は不要です。

  一般社団法人 NPO法人
設立時社員 2人以上必要 10人以上必要
設立時の認証 認証不要 所轄庁の認証が必要
事業報告 事業報告は不要

所轄庁への事業報告が必要

(毎事業年度終了後3か月以内)

役員 理事会がないならば理事1人でOK 最低でも、理事3人、監事1人必要

5.一般社団法人と公益社団法人の違いは?

 「公益社団法人(こうえきしゃだんほうじん)」とは、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」という法律によって設立される法人のことです。

  社団 財団
公益認定前 一般社団法人 一般財団法人
公益認定後 公益社団法人 公益財団法人

 一般社団法人が行政庁(内閣府や都道府県)の公益認定を受けることで「公益社団法人」に、一般財団法人が公益認定を受けることで「公益財団法人」に移行することができます。公益認定を受けることで、行政庁の指導を受けることになりますが、税制上の優遇措置を受けられ、社会的信用も向上するため、認定を受ける社団法人は少なくありません。

6.一般社団法人の特徴は?

 これまで他の法人との対比から一般社団法人の特徴を例示しますと以下のようなものがあります。

  • 営利性がない(利益が社員に分配されない)
  • 基本財産を定めなくてよい
  • 社員2人から設立できる
  • 設立時の認証や、事業報告は不要
  • 公益の認定は受けていない

 一般社団法人は、他の法人と比べると、シンプルで行政庁などの制限の少ない法人と言えます。

7.一般社団法人の設立の登記

 一般社団法人を設立する場合、一般的には以下のような流れです。

  1. 社員2人以上で基本事項を決定
  2. 定款原案の作成、類似名称の調査、法人印の作成、印鑑証明書の取得
  3. 公証役場で定款認証
  4. 法務局に設立登記を申請
  5. 銀行口座の開設、税金・社会保険に関する届出

 また、ご自身で法人の設立手続きをされる場合の、一般社団法人の設立費用の一般的な費用については、およそ以下の通りです。株式会社の費用と対比してみてください。

個人で登記をした場合の一般的な費用の目安(税抜き)
必要な書類等 一般社団法人 株式会社
定款認証費用 52,000円~ 52,000円~
印紙代(定款) 40,000円  40,000円 
登録免許税(法務局への申請) 60,000円~ 150,000円~
登記事項証明書(3通の場合) 1,800円  1,800円 
印鑑証明書(2通の場合) 900円  900円 
合計  157,000円~ 244,700円~

 当事務所で一般社団法人の設立をご依頼いただく場合の費用は、以下のようになります。ご参考ください。

当事務所での費用の目安(税抜き)
必要な書類等 費用
司法書士報酬 65,000円~
定款認証費用 52,000円~
印紙代(電子定款のため無料) 0円 
登録免許税(法務局への申請) 60,000円~
登記事項証明書(3通の場合) 1,800円 
印鑑証明書(2通の場合) 900円 
合計  179,700円~

 なお、当事務所では電子定款を利用するため、印紙代4万円がかかりません。手続きが複雑になる場合や、役員の中に海外在住者がいらっしゃる場合等、事情によって請求額は異なりますので、あらかじめ見積書等で費用の内容についてご確認ください。

8.一般社団法人の設立「後」の登記は?

 一般社団法人の理事の理事任期は、「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までと」(法第66条)。 監事の任期は、「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで」(法第67条1項)となっています。一定の条件で取締役の任期を10年まで伸長できる株式会社と異なり、一般社団法人の理事には任期伸長の規定はなく、一般社団法人はおよそ2年おきに理事の変更登記が必要です。

 他にも、理事長の住所が変更した場合、法人の名称変更した場合、法人の目的を変更した場合、法人の主たる事務所を移転した場合、従たる事務所を設置した場合など、社団法人の登記事項の変更があった場合などには、変更があってから2週間以内に社団法人の変更登記が必要です(法第303条)。登記が遅れた場合には過料の処分が科されることもありますのでご注意ください。登録免許税と司法書士報酬等の費用等の目安は以下のとおりです。ご参考ください。

  登録免許税 司法書士報酬(税別)
理事、監事などの役員の変更 30,000円 25,000円~
名称の変更 30,000円 25,000円~
目的の変更 30,000円 25,000円~
主たる事務所の移転(管轄内) 30,000円 25,000円~
主たる事務所の移転(管轄外) 60,000円 30,000円~
従たる事務所の設置 60,000円 30,000円~

司法書士は一般社団法人の登記を含めた登記申請のスペシャリストです、登記に関するご質問がありましたら、ご連絡ください。

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