福岡市中央区舞鶴、福岡法務局そばの矢野・いなほ司法書士事務所です。実現をするにしてもだいぶ先の話ですが、今回は気になるニュースを、

”戸籍証明書、提出不要に 結婚・年金受給など
法制審部会、戸籍法改正で要綱案

                        2019/2/1 23:00

法制審議会(法相の諮問機関)の戸籍法部会は1日、マイナンバーを使い戸籍情報を管理するための法改正の要綱案をまとめた。結婚の届け出や年金受給に必要な戸籍の情報を全国で確認できる仕組みをつくり、戸籍謄本などの戸籍証明書の添付を不要にする。住所と本籍地が異なる場合も本籍のある自治体に出向く手間を省く。今国会に戸籍法改正案を提出する。

戸籍は全国約1900の市区町村が正本を管理しており、ほとんどの自治体は紙以外に電子データでも保存している。法務省は戸籍の副本データと、マイナンバーをひも付けするシステムをつくる。本籍地ではない自治体でも、マイナンバーカードやマイナンバーを提示するだけで戸籍情報を照会できるようにする。

マイナンバーの番号を伝えれば、戸籍証明書の取得なしに婚姻届の提出や養子縁組、パスポート(旅券)の発給申請、年金や児童扶養手当などの受給申請をできるようにする。相続などの際には近くの自治体の窓口で戸籍証明書を発行できる。

戸籍には親族や夫婦関係、本籍地などの個人情報が多く含まれる。不正な情報の参照を防ぐため、操作記録の保存など不正を防止するシステムを構築する。戸籍事務を扱う自治体職員や法務省の職員には個人情報の漏洩防止を義務付け、違反者には罰則を科す。

戸籍法の改正は2017年9月に当時の上川陽子法相が法制審に諮問した。全国の市町村が扱う戸籍事務にマイナンバーを活用し、利便性を高める。(『日本経済新聞』より)”

参照:法制審部会、戸籍法改正で要綱案(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4076892001022019EA3000/

相続手続きも関係する話題。簡単に言うと、マイナンバーを活用することによって、本籍地でなくても戸籍の情報を取得できるようにするというものです。

住民票と異なり、戸籍は本籍地の市区町村役場に保管されています。住所も本籍も同じであるならば、住所地の役場に行けば住民票も戸籍も取得できますが、住所と本籍が違う場合には、本籍地の役場に郵送で請求するなり、ご親戚に取っていただく必要もあります。

相続登記手続きなどの場合、亡くなったご本人の、出生から死亡までの戸籍を要します。結婚や離婚、転居に伴って本籍を転々とされている場合などは、その都度それぞれの役所に戸籍を請求する必要が出てくるわけです。それぞれの市区町村ごとに保管をしているのでやむを得ないのですが、請求する側からすると、役所にたらい回しにされているような錯覚に陥るほどです。今回の制度が実現すれば、一つの役所に請求すればよくなるため、戸籍の取得の手間は相当削減できると思われます。

ただ、今回活用されるマイナンバー制度というのはそもそも①税②社会保障③災害対策のためだけの制度である、と何度も政府から聞いてきましたが、今回の事案はそのどれにも当てはまりません。戸籍と言うのは個人情報の塊ですので、慎重な議論と運用が求められます。

今後ともこの議論については注視していきます。