1.相続を知ろう。

 相続手続きは当事者の方のそれまでの生き方に影響されます。家族の構成や財産の内容、当事者の方のお考えなど、一人一人の「相続のかたち」は全て異なると言ってもいいでしょう。しかし、それぞれ異なる相続であっても、相続手続きに共通する重要なポイントがあります。

2.それぞれの相続分を知る。

 相続はどなたかが亡くなられたときに開始します。そして、相続によって得られる持分は、ご家族のかたちによって異なります。誰が相続人になるのか、それぞれの相続人がどれほどの割合の権利を有しているのかを、確認してみてください。

 配偶者の方は常に相続人になります。また、家族のかたちによっても持分が変りますので、ご注意ください。

 なお、相続人が一人しかいない場合にはその方が財産の100%を相続します。相続人がいない場合には、「特別縁故者」という方を探してその人に相続させる場合もあります。その特別縁故者も見つからないようならば、相続財産は国庫に納められます。

 相続関係を調べるための戸籍は「本籍地の市役所」に保管してあります。ご実家の住所から県外に転居していたり、婚姻などで遠隔地に転籍をしていたりすると、相当な遠方に戸籍を請求する必要もでてきます。例えば別の都道府県の役所まで請求するのが大変ですし、ご親戚が戸籍を請求するということも難しいため、大変な労力を要します。郵送で戸籍を請求することもできますので、その場合には各市役所のHPをあらかじめ参考ください。

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3.相続のタイミングを知る。

 相続対策をする場合にも手続きによってさまざまな条件があり、ある時期を過ぎてしまうと、選択できないものがあります。まず、相続手続きの大まかな流れをつかみ取って、そこから始められるとよいでしょう。

 たとえば、「不動産をお孫さんに贈与しておきたい」とか、「遺言を書きたい」といった、いわゆる相続対策をしたい場合であっても、重度の認知症などを患ってしまうと、ご自身では手続きをすることはできなくなります。法律上の意思能力が認められないためです。もちろん、ご本人が亡くなられた後では相続対策を採ることもできません。相続対策はできるだけお元気なうちに、できるだけ早いうちに検討されることをお勧めします。

4.残されたご家族に必要なこと。

 ご家族に先立たれた後には、お葬式や法事にまつわるものばかりでなく、さまざまな手続きが必要です。これらのうち、一部の手続きには期限があります。たとえば、死亡届は亡くなってから「7日以内」、相続税の申告は亡くなってから「10ヵ月」以内です。もう一つご注意をしていただきたいのは「相続放棄」の手続です。「相続放棄」は原則として、「死亡してから3ヵ月」という期限があります。亡くなられた方に借金がある恐れがある場合には、3か月という短い間に相続財産の調査をし、放棄をするか否かの判断をしなければなりません。

※ 遺産分割協議や相続登記には期限はありませんが、長い間放置していると、他のご家族の方が亡くなられたり、相続人の方が認知症を発症して、成年後見人を選任する必要が生じたりと、相続関係が複雑になる場合もあります。当事務所では、早い段階での登記をおすすめしています。

5.相続財産を知る。

 相続手続きにおいて、相続財産を把握することも当然重要です。「どこに」「何が」あるのか。どこを調べるのが良いのかについての理解が、面倒な労力を減らす手助けになるでしょう。

ご自身の財産について、ご家族でも知らないことは多いものです。ご本人しか知らない口座や不動産が、亡くなってずいぶん経ってから見つかるというケースも少なくありません。最近ではネットバンキングや仮想通貨などで資産運用をされる方もいらっしゃいますが、PCやネット上で使用しているパスワードやIDが分からないために財産として見逃される、といったケースも見受けられます。お元気なうちにご自身の財産関係を整理して、必要な時にはご家族等に告知できるような体制ができているのが理想的です。

 また、相続財産にはマイナスの財産である借金や未払いの税金なども含まれます。相続財産の計算にも当然必要ですし、借金があまりにも膨大な場合には相続放棄の手続を採る必要も出てきます。借金などは家族に秘密にしている場合も多いため、ご家族が亡くなられた後は、こまめに郵便物をチェックしておくことをおすすめしたします。

6.さまざまな相続手続き

 相続手続きは、財産や手続きの性質によって取り扱い先が異なります。預金などは預けた金融機関に、株式は証券会社や株主名簿管理人に、電話加入権は通信会社に、車やバイクは陸運局に・・といった具合です。

当事務所には、煩雑な財産手続きを一括してお引き受けするサービスもございます。

7.司法書士にできること

司法書士は相続手続きにおいてさまざまなお手伝いが可能です。

  • 相続調査(相続人と相続財産の調査)
  • 相続登記(不動産の名義変更)
  • 預貯金や株式などの相続手続き
  • 遺言書の作成支援
  • 遺言書の検認手続支援
  • 相続放棄手続の支援
  • 成年後見支援
  • 家族信託
  • 会社の役員の変更登記

司法書士は、相続登記のプロフェッショナルです。

 特に財産に不動産が含まれている場合などには、まず第一に司法書士へのご相談を検討してください。また、当事務所には行政書士を兼務する司法書士もおりますので、自動車の名義書き換えや農地、山林の届け出等の代行もいたします。それ以外のご相談に対しても、当事務所が提携する専門職と共に、ご依頼に対応してまいります。

8.あらゆる士業と提携して解決します

 たとえば、相続税の対策や申告などの手続きは税理士が、相続財産についてすでに相続人同士の紛争になっていて、代理人を立てて交渉したり訴訟を考えている場合には弁護士が専門職ということになります。当事務所でも、司法書士の職権にないご依頼などについては、他の士業の方と協力して取り組んでいます。専門職のお知り合いがいない場合でも、安心してご相談ください。

連絡から登記完了までのチャート

 ご相談は初回無料です。相続に関するお問い合わせは矢野・いなほ司法書士事務所(電話:092-721-0236)までどうぞ。