1.「合同会社」とは?

 「合同会社(ごうどうがいしゃ)」という会社をご存じでしょうか?「株式会社」や「有限会社」などに比べれば知名度は高くありませんが、平成18年から設立できるようになった、比較的新しい会社の種類です。近年、この合同会社の設立登記が増えています。

 例えば、2022(令和4)年の1年間に、日本では12万9548社の会社の設立登記がなされました。このうち、9万2371社(約71%)が株式会社、3万7127社が合同会社(約28%)です(政府統計ポータルサイト e-Statのデータを参照)。日本で設立される会社のうち、およそ3割弱が合同会社ということになります。

2.あの会社も合同会社?

 合同会社の歴史は他の会社の比べても短いですが、そんな合同会社の中にも知名度の高い会社があります。

  • グーグル合同会社
  • Apple Japan合同会社
  • アマゾンジャパン合同会社
  • フィリップモリスジャパン合同会社
  • エクソンモービル・ジャパン合同会社
  • ワーナーブラザースジャパン合同会社

 グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)という現代を代表する企業の総称としてGAFAという用語を使う場合がありますが、このGAFAうち、3社の日本法人は合同会社です。実のところ、これらの会社は、アメリカの親会社がアメリカ国内で税制上の優遇(パス・スルー課税)を受けるために、日本の合同会社の形態を選択するケースが多いですが、いずれにしても、合同会社であるからといって、小さな会社ばかりというわけでもありません。

3.株式会社と合同会社の違いは?

 とはいえ、設立されている会社の約7割は「株式会社」です。そのなかで、あえて「合同会社の設立」を選択する人が増えているのはなぜしょうか?まずは、株式会社の合同会社の特徴を比べてみましょう。

会社形態 株式会社 合同会社
商   号 株式会社〇〇 or 〇〇株式会社 合同会社〇〇 o r 〇〇合同会社
出 資 者 株主 社員
所有と経営 出資者が経営者とは限らない 出資者と経営者が一致
代表者の肩書 代表取締役 代表社員
役員の任期

2年~10年

社員の任期の定めなし
設立時の定款認証 定款の認証が必要 定款の認証は不要
決算公告 必要 不要

 

一般的に、株式会社と比べて、合同会社には次のようなメリットがあるとされています。

  • 設立費用が安くて手間も少ない
  • 役員に任期がない
  • 決算公告をしなくてよい
  • 経営の自由度が高い
  • 意思決定のスピードが速い

 合同会社の構造は、有限会社のものによく似ています。株式会社に比べると、合同会社はコンパクトな単位を想定しているので、構造がシンプルで、費用も節約しやすい会社の形態です。言ってみれば、自動車を購入するときに、普通車ではなく、比較的費用が安くて小回りがきく軽自動車を選ぶ感覚に近いかも知れません。逆に、合同会社は知名度が株式会社に比べて高くはないため、信用力の低さを不安視して株式会社を選択される方もいらっしゃいます。

4.合同会社の設立は安くて簡単?

 株式会社と合同会社で設立をする場合によく質問されるのが、設立登記の費用や手間の問題です。株式会社でも合同会社でも、設立の際に定款を作成しますが、株式会社の場合であると公証役場で「定款の認証」という手続きまで必要になります(合同会社の設立では定款の認証は不要です)。また、株式会社の設立登記の場合には最低の登録免許税額(いわゆる印紙代)は15万円~であるのに対して、合同会社では6万円~になっています。事業が始まっていない会社の設立の段階ではできるだけ費用を抑えたいと考える方が多いですし、いずれ会社が大きくなった後に合同会社から株式会社に組織変更することも可能ですので、まずは費用が割安な合同会社でスタートする、という選択をされる方も多いです。

  株式会社 合同会社 
定款の印紙代 電子定款ならば不要 電子定款ならば不要
定款認証費用 5万円程度 認証不要
登録免許税 15万円~ 6万円~
合     計 約20万~ 6万~

 

 ※ なお、会社を設立する場合には、会社の実印の作成費用、定款の謄本依頼費用、会社設立後の登記事項証明書の印紙代などの費用も必要です。

5.設立登記は「自分で」できるの?

 当事務所は、起業家の方の相談を受けることも多いですが、その中にはインターネット上の情報や「会社設立freee」「弥生のかんたん会社設立」「マネーフォワード会社設立」などのソフトを活用して設立登記を自分でされる方がいらっしゃいます。費用を抑えるためにも、そういったソフトを活用して、自分で会社設立の登記をされることは問題ありません。ただし、登記の内容や意味を理解せずにソフトに指示されるままに登記を申請したために、会社の実態と登記の内容が一致せず、後々に修正を迫られるケースもあります。そうなると、せっかく節約しようとしたのに、無駄に費用がかかってしまうことにもなりかねません。

 特に、① 法務局に何回か通うことのできない方(登記内容の補正が必要になることが多いため)、② 会社の設立日が決まっている方or急いでいる方(時間通りに登記の申請をするのが難しい場合があるため)、③ 会社の設立登記の内容がよく分からない方(大きなミスをしやすいため)に関しては、登記申請前に司法書士や法務局の相談窓口にご相談されることをおすすめします。

6.会社や法人の設立登記は司法書士へ。

 わたくしども矢野・いなほ司法書士事務所は、これまでも数多くの会社の設立登記の申請をしてきました。会社設立登記のノウハウや会社後に必要な手続きのアドバイスまで、さまざまなサポートが可能です。初回相談料は無料、会社設立の司法書士報酬についても5万円前後から対応可能です(会社の規模や手続きの内容にもよります)。登記申請の前には積書を提示しますので、会社の設立をお考えならば、矢野・いなほ司法書士事務所(電話092-721-0236)へご連絡ください。

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